辺野古のジュゴンを守って!

緊急声明

201486

 

沖縄ジュゴンのえさ場を奪う行為を直ちに中止し

沖縄県民から宝の海を奪うな!

 

北限のジュゴンを見守る会・代表 鈴木雅子

http://sea-dugong.org/

info@sea-dugong.org

 

 

 私たちは沖縄ジュゴンの保護を目的とし、名護市現地においてジュゴンの生息調査を行っている「北限のジュゴンを見守る会」(以下「北限」)です。現地調査グループ「北限のジュゴン調査チーム・ザン」(以下「チーム・ザン」)は612日付で沖縄防衛局及び防衛省に、辺野古新基地建設に伴うジュゴンのえさ場を荒廃させる行為を直ちにやめ、ジュゴンにとって圧力となる行為をしないよう要請しました。

 

「チーム・ザン」は5月から7月にかけて辺野古・大浦湾におけるジュゴンの食み跡(はみあと)調査を行いました。その結果、辺野古の米軍基地「キャンプ・シュワブ」沿岸にのべ110本以上の食み跡を確認しました。沖縄防衛局による当該海域の『水域生物等調査報告書』にも201213年と続いて食み跡が確認されていることが記載されています。ジュゴンがこの海域を3年間継続的に利用してきたことが分かります。この海域が絶滅の危機にあるジュゴンにとって重要なえさ場の一つであることは明らかです。

 

 沖縄防衛局による環境アセスメントには、「沖縄のジュゴンは嘉陽沖の海域を生息範囲として他の海域に移動することはほとんどなく…これらのジュゴンが今までの生息範囲に留まっている場合は事業の実施が個体に及ぼす影響はほとんどなく、沖縄県全体のジュゴンの個体群の維持に対して影響を及ぼす可能性はほとんどない」と記載されています。しかし、埋め立て区域と重なる海域に継続的にジュゴンが訪れている事実から、沖縄防衛局の主張はもはや成り立ちません。

 

このままでは天然記念物として守られるべき沖縄ジュゴンの生息地が海底ボーリング調査と不発弾の磁気調査(以下「ボーリング調査」)、埋め立て、基地建設によって撹乱されジュゴンが餌場に近寄れなくなります。特に食み跡が集中する場所は埋め立て区域と重なり、沖縄防衛局が「キャンプ・シュワブ」内から設置する浮き桟橋とそこに係留する海上保安庁のゴムボートなどの船舶の直下です。

 

いま、辺野古では「ボーリング調査」のための準備が進められています。「ボーリング調査」は海底掘削や岩礁破砕を伴いますが、その工事を行うために「キャンプ・シュワブ」専用の立ち入り制限水域の大幅な拡大やブイ設置を強行し県民・市民を排除することが画策されています。防衛省沖縄防衛局と海上保安庁は結託して辺野古新基地建設に反対する県民・市民に圧力を加えています。「キャンプ・シュワブ」のゲート前には危険きわまる突起物を装着した「殺人鉄板」が敷設され、沖縄防衛局・県警・ガードマンが一体となり暴力によって辺野古新基地建設の断念を求める県民・市民を抑圧しています。

 

しかも埋め立てや岩礁破砕によって辺野古周辺の産業や漁業に悪影響が出ることは必至であり、これに対し名護市を筆頭に辺野古に隣接する宜野座村漁協も不同意をおおやけにしています。埋め立て工事の強行は地元自治体をないがしろにすることであり、漁民から漁業を営む権利を奪う違法行為です。また、この海域は誰でも利用できる公有水面ですから、これを立ち入り制限区域とすることも違法と言わざるを得ません。

 

ジュゴンは世界的にも危機的状況にありますが、そのなかで沖縄ジュゴンは北限に生きる個体群です。開発行為、気候変動などの影響で沖縄の海辺が傷だらけにされているなかで、自然生態系がそのまま残る辺野古地先や隣接する大浦湾は命の宝庫です。ここは海の命のゆりかごである海草(うみくさ)藻場やサンゴ群落がひろがり、貴重なウミガメたちが豊かな命の営みを見せる場所であり、沖縄にとっても世界にとっても宝の海域です。豊かな海のシンボルといえるジュゴンをこれ以上追い詰める行為を直ちにやめ、住民とこれからの世代にとっての宝である辺野古の海を奪う工事をやめることを強く求めます。

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